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”闇夜の雪…”


 

棺桶が軋みを立てて こちらに来いと

言っている…
右足に 冷ややかな感触を 感じながら
片足を入れ ミシッと音が木霊する
ミシッミシッと両足を入れ 棺桶に
誘われた通りに 体を横たえる
棺の蓋は 勝手に閉まって行く
光を遮りながら 暗い暗い闇世の中に入った
外から 木槌の音がする コンッ コンッ
何回も何回も 代わりばんこに 打ち付けられる さあ…後は 火の炉の中へと入るだけ…
焼ける音がする 次第に煙が充満する
煙を皮膚が吸い込み 体が…皮膚が焼けて行く
ただ 何も言わずに 焼かれるのだ
ただ 何も言わずに 灰になるのだ
人の心は どこを彷徨うのか 私を想っていてくれる者の側に行くのか
私は 灰になって 骨を拾われるだろう

一人一人がただ 静かに 厳かに 取るだろう

そして その灰をダムの水に流すだろう
好きだった 四季折々のダムの 深い底に
静かに沈むだろう 落ちながら魚についばまれ
魚もいない 深い深い闇の世界に
降り積もるだろう
それは 綺麗な 闇世の雪のように…
”詩人〜今人…”
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