”夜に…”いくつの夜に包まれてきただろう 私が夜を抱きしめたことはなかった 寂しい時には包んでくれた 涙する日には 静かに 包んでくれた そりゃもちろん 夜が怖い日もあったさ でも 一人ぼっちの心には 静かな夜が 似合ってた さりげなくて 慎ましく まるで 小さい頃の...
”精神の死を抱いた…”精神の死を抱いた 私は あの頃 死神と寄り添っていた 背中合わせで座ってたら 何をゆうわけでもなく 私が死ぬのを待ってるように 彼は 私をじっと見ていた じっと側で立てって待ってた いつしか 僕たちは 時間を共有してた 同じ時間 同じ時を待ちわびるように 私が 死ぬ時には...
”心は喜び…”嬉しい 嬉しいと 弾んだ 心はさぞ喜び 秋桜は咲き乱れ 海は浜辺に静かに打ち寄せ 山は夕暮れ近くで 虫の音豊かに 裏山の鳴く鳥 寂しく 鳴いている 詩の心は 優雅に満ち足りて 落ち着き放つ 人々は 秋の香りを感じつつ 家には 秋刀魚の焼く匂いが 食欲を誘い 子供の帰り道に...
”命を司る時計…”命を司る時計が 刻々と進んでいる 人の命は 秋の木の枝のあの枯葉 木枯らし吹いて 舞い散る枯葉 地に落ちては その身はカサカサに乾き 水分は蒸発し 足に踏まれれば 粉々になり 風が吹けば 粉々になった 枯葉は 雨に濡れ 微生物達が土に還す 私の命もそうあって欲しい...
”眠れない日も…”眠れない日も そろそろ 飽きてきた 夜の虫さえ 寝静まっている 真夜中の 雰囲気は 真っ暗異世界 何も見えない 何も聞こえない 時より 寝ぼけた 虫が けたたましく鳴いては やめるを繰り返し 不思議な世界が木霊する しかし 誰も 気づきゃしないし 起きもしない しかし...
”轟々と燃え盛る…”轟々と燃え盛る 焚き火に あたりすぎた 体の水分が蒸発し 喉が渇き 水を欲しがり 買ってきてあった クーラーの中の 冷えすぎたビールを体に流し込む 炭酸が喉元を掻き毟るように 通り抜けていく 飲み干した目線の先に あの女性のラインを 見つめ また残りのビールを飲み干しながら...
”愛を失った…”私は 愛を失った 漂うだけの海カモメ 餌をたらふく食い 満腹になって 漂う 水の中も 煌めく鰯の鱗の光だけが 虚しく光り 波が揺れながら 太陽の光が 水面と揺れ 静かさだけが 海にはあった 朝にも 昼にも 夜にも 同じ時は流れず あの海の水面の煌めきだけが 反射する...
”夢の中の私…”夢の中の私は 逃げ惑う 走っても ぶち当たり 走っても ぶち当たり 鼻を拭うと ヌルッとした 感触があった 暗闇に紛れて 血さえ 黒く見える 着ていた服で拭いながら 私は 逃げた どこに行ってるのかもわからないのに 出口を探した 手探りに変えて壁をさすりながら...
”闇夜に咲く花…”夜が幕を下ろし 花たちの色は 暗闇に消える ある花は 蕾に戻り ある花は咲いたまま 夜を過ごし 日中に太陽を浴びて咲いた 花達の中にはいない 一際異彩を放つ花がある その花は暗黒の世界に咲く 白い花 夜の闇に咲かせる ”月下美人” 彼女は夜に咲く不思議な花...
”あなたの心はないてるの…”あなたの 心の中は 泣いているの 声は聞こえないけど 伝わる寂しさ その両手に握られている一輪の秋桜 風に揺られながら なびいている 花弁は ヒラヒラ 想いを伝えるように 咲いているのを 摘み取られた 花の悲しさが ひとひらだけ 地に落ちた とても それが 儚くて...