”100メートル先の…”あの 渡りたい 100メートル先の 横断歩道の信号が点滅している 走った ガムシャラに 息を切らし 筋肉が硬直して 弾けるくらいに 夏の終わりの空気は秋模様… 汗は まだ夏を ずっと忘れていない 寒い寒い木枯らし吹くまで 夏を忘れない 緑から黄色に彩られる季節は...
”闇夜の雪…”棺桶が軋みを立てて こちらに来いと 言っている… 右足に 冷ややかな感触を 感じながら 片足を入れ ミシッと音が木霊する ミシッミシッと両足を入れ 棺桶に 誘われた通りに 体を横たえる 棺の蓋は 勝手に閉まって行く 光を遮りながら 暗い暗い闇世の中に入った 外から...
”田んぼにいる…”夏の 雨の降る田んぼにいる カエルが鳴いていたのに 涼しくなると 鳴かなくなるのはなんでやろ 虫の音 たくさん聞こえるのに カエルが鳴かぬのは なんでやろ きっと 嫁さんも 旦那さんも 見つけて 家庭でいそいそしているに違いない はたまた 子作りか子育てをしてるに 違いない...
”おしくらまんじゅう”お年寄りが おしくらまんじゅう とある病院は お年寄りの保育園 お年寄りの おしくらまんじゅう 座るところがなくて 私たちは 孤立する お年寄りの おしくらまんじゅう 近場の話が 行き交い まるで 複雑な交差点の真ん中で話しているよう お年寄りの 保育園 今日も...
”水溜り…”この水溜りの中の世界に入れたら きっと 誰もいない 音すらしない 世界なんだろうな…人の心が 一人ぼっちでいる世界なんだと思う… みなさんも見つけたらソーッと 見つめてごらん、向こうの世界の 自分の顔が 顔を覗かす姿が きっと 見えるでしょう… でも...
"雨降りしきる中に…"雨が降りしきる中に 親からはぐれた 犬の子が… 小さいながらに 寂しさを 小さき声に秘め 道行く人に すり寄っていく様を… なんて 孤独とは深い悲しいもの なんて 孤独とは切ないもの 人も同じ 雨に濡れながら 傘も持たずに トボトボ歩く ちいさき子の寂しさは 家のせいか…...
その太い幹に..その太い幹に 樹液とゆう血を流している 大木よ…その枝とゆう枝に緑の葉を茂らせ 秋には実をみのらせ 小さき子供を産み落とす 大木よ…あなたは どうしてそんなに 私らの背の届かないところまで 伸びているのか… あなたの その心臓は 一体…何処にあるのだ… 耳を幹につけ...
”命の火が足りぬ…”私の言葉には 命の火が足りぬ 私の言葉には 夏の蝉のような 命を削ってまで鳴く 想いの火が足りぬ しかし たとえ 誰が その火を消そうとも その火は消えまい 火の鳥より貰えし その命の火は 誰にも消せはしない 言葉に 命がないと言うのなら 私の生きる命がないという事...
”赤い傘…”雨は 小降りなのに 今日も あの子は 赤い傘を差したまま あの公園の あの場所で 傘に隠れて 寂しそう 雨の日に 通りかかったら あの子は また あの場所に1人で 傘に隠れて 座ってる そう あれは 私にしか 見えない 遠い 遠い昔の 私の姿… 赤い傘が...
”躓きたくなくても…”どんなに 躓きたくなくて ゆっくり そろりと 歩いても 必ずしも 転ばないとは限らない 絶対なんて 言葉は あってないようなもの 口に出さずとても わかるもの あの空が 明日は 晴れだと言われても 決して 明日が晴れるとは 思わない 所詮は 人が 呟いたこと 所詮は 人が...